　最後に

　記録をまとめてみて、１００種を越える野鳥がこの地域で記録されていることに正直言って驚きました。これもこの地域が優れた自然環境にあると共に、長年に渡っての地道な観察記録が残されてきている結果だと思います。

　そもそも、高月浄水場の池を見に行ったとき、偶然、ヨシガモを見つけ、それからこの地域に頻繁に通うようになったのですが、鳥そのものというより水田の広がりに何か惹かれるものがあったように思います。この地域は東京一の水田地帯で約１０ha、４０人が耕作しているということです。他県に比べれば、微々たる面積ですが、多摩川と秋川の合流点の土手の上から見渡すと、滝山丘陵をバックにここが東京とは思えない風景が広がります。特に夕日に染まった景色は格別です。

　春の渡りの時期、田植えの終わった水田にアマサギの群が入ったり、秋の刈り入れの後の田の中でハザ掛けの稲をバックにチュウサギが餌を探したり等、鳥も風景の一コマに欠かせない存在に思えます。

　ただ、農家の方々にとって、スズメの食害は相当、深刻なようで、収穫前になると水田には全面的に防鳥網が張られ、場所によってはスピーカーを設置し、鳥の嫌がる音（ある種の野鳥の悲鳴のような声）を常時、流している場所さえあります。完熟する前の子房をつぶすようにして食するスズメの群も確かに見られました。

　滝山城跡公園はトイレが新しく改築されたり、駐車スペースが整地されたり等、整備が進み、また、滝山城跡公園から水田地帯を通って東秋川橋までは「かたらいの路滝山コース」として東京都西部公園緑地事務所によって指導標や案内板が設置されるようになりました。

　野鳥と共存できる都市農業の発展と共に、「里山」ともいえるこの風景がいつまでも保全されることを願うばかりです。　１９９９．５　　
　　
　

引用

※1　かわせみ №1 1988.8　定期・定点カウント記録　

※２　かわせみ №2 1989.2　定期・定点カウント記録　

※３　かわせみ №4 1990.2　定期・定点カウント記録　

※４　かわせみ №6 1991.2　定期・定点カウント記録　

※５　かわせみ №8 1992.2　定期・定点カウント記録　

※６　かわせみ №8 1992.2　鳥信

※７　かわせみ №10 1993.2　定期・定点カウント記録

※８　かわせみ №11 1993.8　鳥信

※９　かわせみ №11 1993.8　鳥信

※１０　かわせみ №12 1994.2　定期・定点カウント記録　

※１１　かわせみ №13 1994.8　鳥信

※１２　かわせみ №14 1995.2　定期・定点カウント記録

※１３　かわせみ №14 1995.2　鳥信

※１４　かわせみ №14 1995.2　鳥信

※１５　かわせみ №14 1995.2　鳥信

※１６　かわせみ №12 1994.2　タカの渡りルートが八王子にもあった　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　※１７　かわせみ №15 1995.8　鳥信

※１８　かわせみ №16 1996.2　定期・定点カウント記録
※１９　かわせみ №17 1996.8　鳥信

※２０　かわせみ №17 1996.8　鳥信

※２１　かわせみ №17 1996.8　鳥信

※２２　かわせみ №18 1997.2　定期・定点カウント記録

※２３　かわせみ №19 1997.8　鳥信

※２４　かわせみ №20 1998.2　定期・定点カウント記録

※２５　かわせみ №16 1996.2　鳥信

※２６　数えあげた浅川の野鳥　定期カウント記録

※２７　かわせみ №12 1994.2　鳥信

※２８　かわせみ №12 1994.2　鳥信

※２９　かわせみ №11 1993.8　鳥信

※３０　かわせみ №12 1994.2　鳥信

※３１　かわせみ №12 1994.2　鳥信

※３２　かわせみ №12 1994.2　鳥信

※３３　かわせみ №10 1993.2　定期・定点カウント記録

※３４　私信

※３５　かわせみ №21 1998.8　鳥信